【はじめに】
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』において、ミルドラースという存在は「悲劇の素材」である。
素材は極上。肩書きはラスボス。
しかしプレイヤーの記憶には「誰だっけ?」と呼ばれる有様。
この不可思議な現象の理由を、大真面目に(?)分析し、彼を「最強のラスボス」に進化させる完全改造プランを提示したい。
【第一章】ラスボス失敗の原因を科学する
露出不足
ミルドラースはあまりにも終盤に唐突に出てくる。
ラスボスなのに「名前が出るのがラスボス間近」という前代未聞の遅刻芸。
これを現代ゲームで例えると
- セフィロスがエアリス刺す前に存在を匂わせない
- ラスアスでファイアフライが全く登場しない
- キングダムハーツでゼアノートがED直前に出てくる
──というくらいの異常事態。
刷り込みが圧倒的に足りない。
ゲマが強すぎた
「父を殺した仇敵」という重すぎる属性を持つゲマ。
これに対してミルドラースは「何もしてない人」感がすごい。
人間ドラマの因縁構造がすべてゲマに吸われ、ラスボスらしい怨恨の矛先が残っていない。
これではプレイヤーの情動が燃え上がらないのも当然だ。
演出が素朴すぎた
変身はたった2段階。
演出は「光に包まれてちょっと大きくなる」。
仮にも魔界の王である。
もっとドラマティックに変身しろ!
強さのピーキーさ
戦闘難易度が「パターン抽選ガチャ」依存。
強パターン→辛い
弱パターン→拍子抜け
攻略本もネットもない当時、「プレイヤー間の体験共有が困難」という致命的欠点に。
カリスマ不足
全てのラスボスは”神格”が必要。
ゾーマ「闇の王」
デスタムーア「夢と現実の支配者」
ラプソーン「暗黒神」
ミルドラース「…魔界の王です(控えめ)」
肩書きが普通すぎる。
せめて「原初の混沌」ぐらい盛っても良かった。
エスタークにビビるのやめろ
部下が口を揃えて「ミルドラース様でも無理です」。
魔界の王の威厳が音を立てて崩壊。
【第二章】本気で演出していたら
ここからは完全再設計。
ミルドラース最大化プロジェクト始動だ!
① 伏線撒き散らし戦略
- 幼年時代:マリアのセリフ「教団の奥に恐るべき存在が…」
- 青年時代前半:ゲマが「我らが神、ミルドラース様の御心に従い…」
- 青年時代後半:光の教団の幹部が定期的に「御前会議」を開くムービー
これで「背後にいる神」感が定着。
② 演出 中ボス召喚祭り
- ブオーン撃破後、ミルドラースが姿を一瞬だけ投影
- 天空城崩壊寸前のゲマが「ミルドラース様…お力を…!」と絶叫
- 空間が捻じ曲がり一瞬「黒い巨大な眼球」が現れる(視覚的な不安感)
プレイヤー「アイツ絶対やばい奴やん…」と認識完了。
③ 変身演出 FF式三段階進化
- 第一形態:賢者ミルドラース(人間形態・理知系イケオジ)
- 第二形態:魔神ミルドラース(既存ドラゴン形態)
- 最終形態:混沌核ミルドラース(空間歪曲する巨大黒球)
第三形態ではBGMが専用神曲に変化。
コーラスとパイプオルガンが鳴り響くなか、戦闘は最高潮へ。
④ 技の演出盛り
⑤ セリフも強化
ラスボス特有の厨二ポエムを満載。
⑥ EDで神格を付与
悲劇性まで獲得。
プレイヤー涙腺に直接訴えかける構成。
【最終章】その結果どうなったのか?
もしこれを実現していたら──
【結論】
素材は全て揃っていた。
あとは「演出する覚悟」だけだったのだ──!
ミルドラース最大化計画、完了である。